アウディ・R8 (市販車)

曖昧さ回避 この項目では、市販車のR8について説明しています。レーシングカーのR8については「アウディ・R8 (レーシングカー)」をご覧ください。
アウディ・R8
ボディ
ボディタイプ 2ドア クーペ
2ドア ロードスター
テンプレートを表示

R8 (Audi R8) は、ドイツの自動車メーカーアウディが製造・販売するクーペ型のスポーツカーである。ランボルギーニ・ガヤルドランボルギーニ・ウラカンとはメインフレームやエンジンブロックなどのベース部品を共有する兄弟車の関係にある。

初代 (2006年-2016年)

アウディ・R8
前期型 フロント
前期型 リア
後期型 フロント
概要
製造国 ドイツの旗 ドイツ
販売期間 2006年 - 2016年
ボディ
ボディタイプ 2ドア クーペ
駆動方式 ミッドシップ フルタイム4WD
パワートレイン
エンジン 4.2L V8 DOHC FSI直噴
420馬力/43.9kg・m
5.2FSI:5.2L V10 DOHC FSI直噴
525馬力
GT:5.2L V10 DOHC FSI直噴
560馬力
変速機

2007年07月-2013年02月
6速Rトロニック/6速MT
2013年03月-

7速Sトロニック/6速MT
ダブルウィッシュボーン
ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,650mm
全長 4,431mm
全幅 1,907mm
全高 1,249mm
車両重量 1,565kg
その他
タイヤサイズ F:235/35ZR19
R:295/30ZR19
ハンドルの位置 左/右
テンプレートを表示

2003年フランクフルトモーターショーで発表されたコンセプトカー「アウディ・ルマン・クワトロ」をベースにしたスポーツカー。

ボディにはASF(アウディ・スペース・フレーム)を採用し、ボディのみで210kgと軽量である。また、エンジンフレームの一部にASFとしては初めてマグネシウムを採用している。ボディはほとんど手作業で作られ、さらにX線ミクロン単位まで溶接部をチェックするなど、細部にわたってこだわっている。ランボルギーニ・ガヤルドはメインフレームやエンジンブロックなどのベース部品を共有する事実上の兄弟車である。

エンジンは、4.2L FSI 直噴 V8 DOHCを搭載。最高出力420ps/7,800rpmを発生する。またエンジン潤滑はドライサンプ方式で、エンジン搭載位置を下げることで低重心化に貢献している。

トランスミッションは6速Rトロニックを採用。これは、メカニカルギアボックスと電動油圧クラッチを組み合わせたもので、ATモードとMTモードが選択できる。

サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンで、標準搭載のガス封入式ショックアブソーバーと、アウディ マグネティック ライドをオプションで選択可能。ショックアブソーバーに磁性体を含んだフルードを封入しており、磁力でフルードをコントロールすることで素早く繊細なサスペンション制御を可能にし、ダンピング特性が異なる「スポーツ」と「ノーマル」の基本モードを用意して、日常の走行からスポーツドライビングまで広くサポートする。

ドイツ・ネッカーズルムのネッカーズルム工場で1日20台ペースで生産される。

先に本国ドイツやヨーロッパで発売され、日本でも2007年7月から価格1,670万円で発売[1]。日本では当初、左ハンドル/4.2リットルV8FSI/6速Rトロニックの仕様のみが発売されたが、2009年2月17日より6速MT仕様を追加[2]。なおR8の販売は日本国内のアウディ正規ディーラーの中でもごく一部の店舗の限定となっている。

2009年1月に開催されたデトロイトショー2009では、『5.2FSIクワトロ』を発表[3]。同モデルは最高出力525ps/8,000rpmを発生する高回転型5.2L V10エンジンを搭載した他、フロントグリルのクローム処理やフロントエアインテークの大型化など、外観にも変更が施されている。価格は1,994万円で、同年4月より予約受付を開始[4]

2010年10月6日に5.2FSIクワトロをベースとしたオープンモデル『スパイダー5.2FSIクワトロ』が発売[5]。価格は2194万円。

当初、R8の右ハンドル車はスパイダーのみだったが、2010年10月26日にクーペモデルの一部改良により、こちらも右ハンドル車が追加されたために以降では左右どちらのハンドルも選択できるようになった。

2012年3月には軽量化とエンジンチューンを施した『GTスパイダー』を全世界333台限定で発売。日本向けは10台。価格は3,064万円。

2013年3月、新型トランスミッションを搭載した2013年モデルを発表[6]。7速デュアル・クラッチ・トランスミッション「Sトロニック」を搭載し、0-100km/hを3.6秒にまで縮めるという進化をもたらした。フェイスリフトも行われている。価格は4.2L V8モデルが1799万円、5.2L V10モデルが2119万円、5.2L V10 Spyderが2339万円。

  • コンセプトカーのルマンクワトロ
    コンセプトカーのルマンクワトロ
  • インテリア
    インテリア
  • V8エンジン
    V8エンジン
  • V10エンジン
    V10エンジン

バリエーション

R8 LMS

R8 LMS

市販車のR8をベースとしたFIA GT3クラスのレーシング仕様。レーシングカーのR8とは異なる。ニュルブルクリンク耐久シリーズや、2011年に日本のスーパー耐久 ST-Xシリーズに参戦[7]。また、SUPER GTのGT300クラスに2012年シーズンからゲイナーおよびaprが2012年モデル・LMSウルトラで、一ツ山レーシングがスーパー耐久やGTアジアILMCなどで使用していたLMSにアップデートキットを組み込み、2台体制で参戦した。

R8 e-tron クワトロ

R8 e-tron

R8をベースとした電気自動車。53 kWhの容量を持つリチウムイオンバッテリーが採用され、最高出力313 ps、最大トルク500 kgmを発生する。2012年後半の市販化を予定[8]し、10台が生産され社内テストに供されたが、バッテリーの進化が遅く十分な性能が発揮できなかったこともあって市販されなかった。

2代目 (2016年-2023年)

アウディ・R8
R8 V10
R8 V10 plus スパイダー
概要
製造国 ドイツの旗 ドイツ
販売期間 2016年3月-2023年
ボディ
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドア クーペ
駆動方式 ミッドシップ フルタイム4WD
パワートレイン
エンジン 5.2L V型10気筒エンジン
最高出力 R8 V10/548ps
R8 V10 plus/619ps
最大トルク R8 V10/55.1kg・m
R8 V10 plus/57.1kg・m
変速機 7速Sトロニック DCT
前:ダブルウィッシュボーン式
後:ダブルウィッシュボーン式
前:ダブルウィッシュボーン式
後:ダブルウィッシュボーン式
車両寸法
ホイールベース 2,650mm
全長 4,425mm
全幅 1,940mm
全高 1,240mm
車両重量

1,670kg(クーペ)

1,760kg(スパイダー)
その他
テンプレートを表示

2016年3月、フルモデルチェンジにより2代目となった「アウディR8クーペ」を発表した[9]

エンジンは自然吸気V型10気筒、5.2Lエンジンを搭載。また、新たに新世代のアウディ スペース フレーム(ASF)、新開発のquattroフルタイム4輪駆動システムなどを搭載した。前型に用意されていたV8エンジンは廃止されたが、アウディによると検討はされているとのこと。日本には最高出力540PSの「R8 V10」と、そのハイパワーバージョンにあたる最高出力610PSの「R8 V10 plus」が導入されている[10]。いずれもレブリミット8700rpmの高回転型自然吸気ユニットで、0-100km/h加速はR8 V10が3.5秒、R8 V10プラスでは3.2秒と公表されている[9]

トランスミッションは、デュアルクラッチギアボックスの7段Sトロニック。これに電子制御油圧多板クラッチを用いたフルタイム4WDのクワトロが組み合わされる。

ボディー構造には引き続きASFを採用するが、旧型がアルミのみを用いていたのに対し、新型ではアルミとCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を組み合わせることで、フレーム単体重量を200kgに抑えながらボディー剛性を40%向上している[9]

価格は「R8 V10」が24,560,000円、「R8 V10 plus」が29,060,000円。2017年7月上旬から、オープンモデルの「スパイダー」も発売された。ランボルギーニ・ウラカンはメインフレームやエンジンブロックなどのベース部品を共有する事実上の兄弟車である。

アウディは、2019年4月17日に米国で開幕するニューヨークモーターショー2019において、改良新型『R8』(Audi R8)を初公開すると発表した[11]。ミッドシップに搭載されるエンジンは、引き続き自然吸気の直噴5.2リットルV型10気筒ガソリン「FSI」だ。改良新型では、このV10を強化して搭載する。ベースグレードの「R8 V10クワトロ」では、最大出力が540hpから570hpへ、30hp向上。最大トルクは55.1kgmから56.1kgmへ、1kgm引き上げられた。0~100km/h加速は、クーペが3.4秒、スパイダーは3.5秒。最高速は、クーペが324km/h、スパイダーは322km/hに到達する[11]

2023年限りの生産終了が発表されており、2022年10月4日に発表されたR8 GTが最後のモデルとなる予定である。今後EV化された後継モデルが2025年以降に発売される見込みとなっている[12]

バリエーション

R8 LMS

R8 LMS Evo

ベース車両の2代目への移行に伴いFIA GT3仕様のR8 LMSも2代目に移行した。レース仕様のV10エンジンは、430 kW (577 hp; 585 PS) の最高出力を発揮。標準の四輪駆動システムを取り除き、後輪駆動とした。重量はわずか1,225 kg (2,701 ポンド) になる[13]

2015年ニュルブルクリンク24時間レースでのデビュー戦においてクラス優勝および総合優勝を遂げている。2019年には発展版であるEvoが投入され、2022年には更なる進化を遂げたEvoⅡが投入される[14]

R8 e-tron クワトロ

R8 e-tron

2015年のジュネーブモーターショーにて発表された後、欧州で同年6月から顧客向けの受注が開始されたが、受注開始から1年以上の間に数十台しか売れておらず、全体で100台未満の販売台数で生産終了となった[15]

R8 RWS

RWSは「Rear Wheel Series(後輪駆動シリーズ)」の略で、R8史上初にして、現行アウディラインナップ唯一の後輪駆動モデル。クーペとカブリオレの合計で999台の限定生産となる[16][17]

R8 GT

最高出力620psを発揮する5.2リッターV型10気筒自然吸気を搭載、アウディブランド史上最もパワフルな後輪駆動モデルとなる。世界限定333台、すべての車両にシリアルナンバーが刻印される。2023年からディーラーでの販売がスタートし、価格は22万5000ユーロからとなっている。アウディ R8 クーペ V10 GT RWDは、333台がドイツ・ネッカーズルムのベーリンガーホフ工場においてハンドメイドで製造される[18]

ワンオフモデル

The Audi R8 Star of Lucis

下述のKINGSGLAIVE FINAL FANTASY XVにも登場する実車が、税別5,000万15円で1台のみ販売された[19]

その他

ナショナルジオグラフィックの「世界の巨大工場 - アウディ」によると、R8は一日20台が生産され、そのほとんどが熟練工により手作業で製造されているという。

マーベル・シネマティック・ユニバースにおいては一部作品においてトニー・スタークの愛車として登場しているが、2008年に公開された『アイアンマン』で初代クーペが登場した際には制作者の予想以上に頑丈であったためラストシーンが一部変更になった。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Audi Japan (2007年7月26日). “新型アウディR8を発表 アウディ初のミッドシップスポーツカー、「アウディR8ディーラー」を通じて販売”. 2009年5月21日閲覧。
  2. ^ Audi Japan (2009年2月17日). “アウディ ジャパン、プレミアムスポーツカー『アウディR8』にマニュアルトランスミッションを追加設定”. 2009年5月21日閲覧。
  3. ^ Audi Japan (2009年1月15日). “デトロイトモーターショーに アウディ スポーツバック コンセプトを出品”. 2009年5月21日閲覧。
  4. ^ Audi Japan (2009年4月21日). “『 アウディR8 5.2 FSI クワトロ 』発表 -待望のV型10気筒 5.2FSIエンジン搭載モデルが登場”. 2009年5月21日閲覧。
  5. ^ Audi Japan (2010年10月6日). “フラッグシップ オープンスポーツカー『アウディ R8 スパイダー』発売”. 2010年10月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年10月23日閲覧。
  6. ^ Audi Japan (2013年3月19日). “2013/03/19 新型Audi R8を発売”. 2013年8月21日閲覧。[リンク切れ]
  7. ^ S耐:Audi R8 LMSがスーパー耐久シリーズ2011に参戦 Archived 2011年1月23日, at the Wayback Machine.、Motorsport Forum
  8. ^ “アウディ R8 ベースのEV、市販決定”. Response.. https://response.jp/article/2010/11/12/147926.html 2011年4月7日閲覧。 
  9. ^ a b c “アウディが最上級スポーツモデルの新型R8発表”. webCG. 2016年3月27日閲覧。
  10. ^ フルモデルチェンジした「新型 アウディ R8」、2016年は限定100台の販売 - Autoblog 日本版(2017年3月12日閲覧)
  11. ^ a b “アウディ R8 改良新型、620馬力で最高速331km/hに…ニューヨークモーターショー2019で発表へ”. Response. (2019年4月15日). 2023年5月10日閲覧。
  12. ^ “これが最後のR8! アウディ「R8 GT」登場 620馬力V10エンジン搭載の後輪駆動クーペ”. VAGUE (2022年10月8日). 2023年5月11日閲覧。
  13. ^ “2015 Audi R8 LMS” (2015年3月6日). 2018年4月5日閲覧。
  14. ^ Goodwin, Graham (2021年7月21日). “Audi Sport Reveal 2022 'Evo II' R8 LMS GT3”. dailysportscar.com. https://www.dailysportscar.com/2021/07/21/audi-sport-reveal-2022-evo-ii-r8-lms-gt3.html 2022年8月26日閲覧。 
  15. ^ 高すぎる価格も原因?アウディのEVスーパーカー「R8 e-tron」が生産終了へ。 - Autoblog 日本版(2017年3月12日閲覧)
  16. ^ 初試乗 アウディR8 RWS - AUTOCAR JAPAN(2018.04.16)2018年10月25日閲覧
  17. ^ 999台限定、アウディR8の2WDモデル「RWS」はクワトロと別モノ - carview!(2020.4.11)2020年10月25日閲覧
  18. ^ “アウディ R8最後の限定モデル「V10 GT RWD」はかつての「R8 GT」をオマージュして333台スペシャル仕様”. GENROQweb (2022年10月10日). 2023年5月10日閲覧。
  19. ^ KINGS GLAIVE FINAL FANTASY XVに登場する新型 Audi R8 「The Audi かR8 Star of Lucis」の一台限定販売が決定! - アウディ ジャパン 2016年11月11日(2016年11月29日閲覧)

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、アウディ・R8 (市販車)に関連するカテゴリがあります。

外部リンク

  • R8のスペシャルサイト(英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語など)
  • アウディ・ジャパンによる公式サイト(日本語)
アウディ車両年表
1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3
スーパーミニ 50 A2 A1 A1
Cセグメント A3 A3 A3 A3
S3 S3 S3 S3
Dセグメント F103 80 80 80 80 A4 A4 A4 A4 A4
90 90 S2 S4 S4 S4 S4 S4
RS2 RS4 RS4
Eセグメント 100 100 100 100 A6 A6 A6 A6 A6
200 200 S4 S6 S6 S6 S6 S6
RS6 RS6 RS6
Fセグメント V8 A8 A8 A8 A8
S8 S8 S8 S8
クーペ クーペ 80クーペ A5 A5
クワトロ S2クーペ S5 S5
RS5 RS5
100クーペ A7 A7
e-tron GT
スポーツカー TT TT TT
R8 R8
ワゴン オールロードクワトロ A6オールロードクワトロ
A4オールロードクワトロ A4オールロードクワトロ
SUV Q2
Q3 Q3
Q4 e-tron
Q5 Q5
e-tron('21-'23)→Q8 e-tron('23-)
Q8
Q7 Q7
ポータル 自動車 / プロジェクト 乗用車 / プロジェクト 自動車
   
    • 自動車の歴史
    • モータースポーツ
    • 自動車画像
    • 自動車関連のスタブ項目