カントン (行政区画)

カントンフランス語/英語: cantonドイツ語: Kanton)は、ひとつのを区画した行政区画の類型のひとつ[1]。一般的に、カントンは人口や面積において、カウンティデパルトマンプロヴィンスなどよりも規模が小さい。国際的に最も有名で、また、政治的に重要な役割をもつカントンは、スイスのカントンである。スイス連邦を構成する主体となっている各カントンは、理論上、また歴史上も、主権国家に準じる性格をもっている[2]

カントンという言葉は、「曲がり角 (corner)」、「地区 (district)」などを意味するフランス語の「canton」に由来する[3]

カントンは、他の様々な行政区画との上下関係が国によって異なり、また日本をはじめ漢字文化圏の行政区画に関する諸概念との単純な対応関係が成立しないため、日本語における訳語は多様であり、[2][4][5]小郡[6]などが訳語として宛てられることがある。

各国のカントン

カントンが制度化されている(されていた)国々、地域:

ヨーロッパ

アメリカ

  • カナダの旗 カナダカナダ・フランス語において英語の「township」(郡区(英語版)に相当する表現で、これを「municipalité」と訳さないのは、それがいち早く別のレベルの行政区画を指した使われていたためである。
    • ケベック州の基礎自治体一覧(英語版)
  • コスタリカの旗 コスタリカコスタリカのカントン(英語版)州の下位区分
  • エルサルバドルの旗 エルサルバドルエルサルバドルの基礎自治体(英語版)の下位区分であり、市や町に接している、より都市的な「カセリオ (caserio)」(ハムレットに相当するとされる)の外側にある。カントンは市や町の領域のうちにある、実際の市街地から離れた、より農村的な部分を指すものと考えられている。
  • ボリビアの旗 ボリビアボリビアのカントン(英語版)
  • エクアドルの旗 エクアドルエクアドルのカントン(英語版)県(州)の下位区分

中東

  • レバノンの旗 レバノンレバノン内戦中や、その後、諸々の民兵組織や党派の支配地域において、非公式に設定された区画。その大部分は、レバノン政府の支配下に戻っている。
  • ロジャヴァ(西クルディスタン)シリア北西部のクルド人支配地域における実質的な行政区画。エフリン地区(英語版)など4つのカントン(地区)が設けられていたが、後に再編されエフリン地方(英語版)ユーフラテス地方(英語版)ジャジーラ地方(英語版)の3地方が設けられた[7]

かつて存在した国家におけるカントン

脚注

  1. ^ Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Canton" . Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 5 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 221.
  2. ^ a b 関根照彦「スイスのカントンにおける直接民主制-1-」『東洋法学』第29巻第1号、東洋大学法学会、1986年、29-52頁。  NAID 110009616037
  3. ^ Oxford English Dictionary cantonment and canton, v.
  4. ^ 玉川大学文学部教育学科 編「『シュタンツだより』Über seinen Aufenthalt in Stanz, 1799.」『教育の名著80選解題』玉川大学出版部、1983年、44頁。"フランス革命の余波はスイスにも押し寄せ、スイス共和国が設立された。ところが、新しい秩序や体制に同意しないカントン(県)との間には戦いが突発し ... 。ニートヴェルデン県とその首都シュタンツでは ..."。  Google books
  5. ^ “資料 2-1 ヨーロッパにおける基礎自治体の広域行政組織” (PDF). 公益財団法人 特別区協議会. 2020年6月25日閲覧。 - ルクセンブルクのカントンを「郡」と説明している。
  6. ^ “英辞郎 on the WEB / cantonとは”. ALC Press Inc.. 2020年6月25日閲覧。
  7. ^ “Rojava authorities announce elections”. Rudaw (2017年7月29日). 2020年6月25日閲覧。
  8. ^ de Frutos, Alberto (2019-08-20). “Azucar, Ron y Lbertad”. Historia: 83. https://www.pressreader.com/spain/historia-de-iberia-vieja/20190820/page/82 2020年6月25日閲覧。. 
  9. ^ “Arthur Yap: After 120 years, Boholanos elected as governor another non-native Boholano”. The Bohol Chronicle (2019年7月14日). 2020年6月25日閲覧。