ステュクス

曖昧さ回避 この項目では、ギリシャ神話に関する事象について説明しています。その他の用法については「ステュクス (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ヨアヒム・パティニール『ステュクス川を渡るカロンプラド美術館所蔵、1515年 - 1524年
ステュクス。ギュスターヴ・ドレイラストレーション(1861年)

ステュクス古希: Στύξ, Styx)とは、ギリシア神話において地下を流れているとされる大河、あるいはそれを神格化した女神である。ステュィクススティクスステッィクス等とも呼ばれる。

概要

オーケアノスの流れの十分の一を割り当てられている支流で、地下の冥界を七重に取り巻いて流れ、生者の領域と死者の領域とを峻別しているという。ステュクスの支流には火の川プレゲトーン、忘却の川レーテー、悲嘆の川コーキュートスアケローン川がある。

女神としてのステュクスは、オーケアノスとテーテュースの娘でオーケアニデスの長姉である。また、クレイオスの息子パラースの妻で、彼との間にニーケークラトスゼーロスビアーをもうけている。

ティーターンの血族だが、ティーターノマキアーの際には、父神オーケアノスの勧めにより 子供達と共にいち早くゼウス側に寝返った。その功績により、彼女はゼウスから「神々を罰する」という特別な権限を与えられた。オリュンポス山の神々は、誓言をする際にイーリスにステュクスの水を汲みに行かせる。神々はこれを飲んで誓言をするが、もしこの誓言に背けば、その者は 1 年間仮死状態に陥る。さらにその後 9 年間オリュンポス山を追放され、10 年目にやっと罪を許されるという。

このように、ステュクスの水には神々さえも支配する特別な力が宿っており、猛毒であるという説や、逆に不死をもたらす神水であるという説が唱えられている。アキレウスも、母の手によってこの水に浸されて不死の体を手に入れたが、母に掴まれていた踵の部分は浸されず脆弱なままだったという[1]

備考

  • 冥王星の第5衛星ステュクスはステュクスにちなんで名付けられた。

出典

  1. ^ Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Achilles" . Encyclopædia Britannica (英語) (11th ed.). Cambridge University Press.

関連項目

  • カローン - ギリシア神話におけるステュクスの渡し守
  • 三途の川 - 仏教において生者の領域(此岸)と死者の領域(彼岸)を峻別しているとされる川
ウィキメディア・コモンズには、ステュクスに関連するカテゴリがあります。
神々
オリュンポス神
オリュンポス
十二神
下位神
ティーターン
ティーターン
十二神
後裔の神々
原初の神々
海洋の神々
河川の神々
ポタモイ
冥界の神々
クトニオス
その他の神々
ニュンペー
オーケアニス
ネーレーイス
ナーイアス
プレイアス
ヘスペリス
その他
怪物
英雄
出来事
アイテム
神殿
原典
芸術
関連項目
  • ポータル 神話伝承
  • カテゴリ カテゴリ
典拠管理データベース ウィキデータを編集
国立図書館
  • ドイツ
  • イスラエル
  • アメリカ
地理
  • プレアデス