ズグラッフィート

チェコのリトムニェジチェにある黒鷲館のズグラッフィート(1560年代)

ズグラッフィートズグラフィトスグラッフィートスグラフィト、スグラフィット、Sgraffito。またはスクラフィト Scraffito、複数形:Scraffiti)とは、

  1. 2層の対照的な色からなる漆喰の、表面の湿った層を掻き落として線画を描く壁の装飾技法。
  2. 2層の対照的なスリップ(泥漿)からなる、窯で焼いていない陶磁器の素地に用いられる陶芸技法。

どちらの場合にも、櫛のような道具で表面を梳いて縞や波を描く。

歴史

ズグラッフィートは、16世紀ルネサンス期のイタリアで広く流行した。ドイツにも移入され流行が起こった。 バイエルンで最も顕著で、その地方特有のモチーフが見られる。ズグラッフィートは家のファサードを作る時、広告の目的で使われるのが一般的だった。

しかし、ズグラッフィートの素朴なものは13世紀のドイツに既にあって、ヴェッテラウ(Wetterau)やマールブルクの広い地域にその例を見つけることができる。他にもテューリンゲンエンガディン(Engadin)、オーストリアトランシルヴァニアで使われていた。

さらに、アフリカ美術にもフグラッフィート技法が見られるし、今は使われていないが、フィリピンの「Kut-kut」という技法がズグラッフィートとエンカウスティークを用いていて、サマール島の原住民が1600年から1800年頃に使っていた。

技法

化粧漆喰にズグラッフィートを施しているところ(Stéphane Baron、フランス)

装飾と組み合わせることによって、ズグラッフィートは壁画に代わるものになった。近年、この古い技法への注目が増し、表現の手段として、さまざまな芸術形式に導入されるようになった。手順は簡単で、フレスコ画と同じである。

カタルーニャでは、ズグラッフィートは20世紀初頭にノウセンティズム(Noucentisme)の新古典主義建築家たちに使われ、ファサード装飾の回帰技法となった。

ズグラッフィートは、簡略化されて、絵画技法としても使われている。カンバスもしくは紙の上に最初の色を塗り、それを乾かし、その上に別の色を塗る。それからパレットナイフやオイルスティックで、上の層の色を掻き落とすことで、下の層の色の絵が浮き出る。下の層に色を塗ることが不要な時もあり、この場合、塗った色を湿っているうちに書き落として、下地のカンバスを露わにする。この技法は美学生にズグラッフィート技法を教える目的で授業で使われることが多い。

関連項目

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