バローチスターン州

バローチスターン州
بلوچِستان
バローチスターン州の旗
バローチスターン州の公式印章
印章
国家 パキスタンの旗 パキスタン
州都 クエッタ
設置 1970年7月1日
政府
 • 種別
 • 州知事 アブドゥル・ワリ・カカール(英語版)(Abdul Wali Kakar)
 • 州首相 アリ・マルダン・カーン・ドムキ(Ali Mardan Khan Domki)
面積
 • 合計 347,190 km2
人口
2023年国勢調査)
 • 合計 14,894,402人
 • 密度 43人/km2
等時帯 UTC+5 (パキスタン標準時)
ウェブサイト www.balochistan.gov.pk/

バローチスターン州 (バローチスターンしゅう、Balochistan、ウルドゥー語: بلوچستان‎、バローチー語: بلۏچستان‎、Balōčistān、バロチスタン州、バローチスタン州、日本語メディア表記ではバルチスタン州[1]とも) は、パキスタン南西端のであり、歴史的なバルーチスターンの大部分を域内に含む。西でイラン、北でアフガニスタン国境を接し、南はアラビア海オマーン湾に面する。

パキスタンの最大の州(347,190 km2)で、同国陸地面積の42%を占める。人口は約1500万人(2023年国勢調査[2])。

州都はクエッタで、州内最大の都市でもある。

名称

州名のバローチスターンとは、「バローチ人の居住する土地」という意味である。

Provincial symbols of Balochistan (unofficial)
Provincial flag
Provincial seal
Provincial animal
Provincial bird
Provincial tree
Provincial flower
Provincial sport

歴史

詳細は「バルチスタン#歴史」、「バローチスターンの歴史(英語版)」、「メヘルガル」、および「インダス文明」を参照

1998年5月28日5月30日ナワーズ・シャリーフ首相兼国防大臣がパキスタンによる初の核実験をチャーガイ地区(英語版)Ras Koh丘陵(英語版)の地下核実験施設で成功させた。

2024年1月16日、隣国イランの革命防衛隊は、ミサイルとドローンを使用して武装組織「ジャイシュ・アル・アドル」の拠点を2カ所、越境攻撃を加えた。パキスタン政府は子供2人が死亡、3人が負傷したとしてイランに抗議を行った[3]。(2024年1月のイランによるパキスタンへのミサイル攻撃

地理

バローチスターンの範囲(マゼンタ色)は複数国家に広がっている

パキスタン国内では、北東はカイバル・パクトゥンクワ州内の旧連邦直轄部族地域 (FATA)、東側でパンジャーブ州とシンド州に境を接する。

西隣はイランのスィースターン・バルーチェスターン州である。北側はアフガニスタンのニームルーズ州ヘルマンド州カンダハール州ザーブル州パクティーカー州と接する。

バローチスターン州はイラン高原の東端で、西南アジア中央アジア南アジアの境にある。山がちな地形と水の不足のため人口密度はきわめて低いが、豊富な鉱物資源が眠っていると言われる。国内への天然ガスの主要な供給地でもある。

州都は北東部のクエッタで、州北東部の最も人口稠密な地域にあり、州内最大の都市である。クエッタはアフガニスタンとの国境に近い渓谷の街で、北西のアフガニスタンのカンダハールとはスライマーン山脈ボーラーン峠(英語版)を走る幹線道路で結ばれている。

カラート地区

詳細は「ゲドロシア(英語版)」を参照

クエッタより南方は中央部地域は、旧カラート藩王国(英語版)のあったカラート地区(英語版)(中心都市はカラート(英語版))として知られ、人口の疎らな砂漠地帯(ゲドロシア(英語版)砂漠)で、ところどころ川沿いに町が点在している。

ハラーン地区

ハラーン地区(英語版)で産出するブルッカイトBrookite

西部は、旧ハラーン藩王国(英語版)のあったハラーン地区(英語版)として知られている。

マクラーン地区、ラス・ベラ地区

詳細は「マクラーン(英語版)」を参照

オマーン湾やアラビア海に面した歴史的マクラーン(英語版)と呼ばれた地域は、南西部地域の旧マクラーン藩王国(英語版)と南東部地域のラス・ベラ藩王国(英語版)を経て、それぞれマクラーン地区(英語版)ラス・ベラ地区(英語版)として知られている。沿岸の港湾都市グワーダルではパキスタン政府が中国の援助によって深水港であるグワーダル港(英語版)が建設され、中国に運営権も譲渡された。これによって、パキスタン海軍に新たな基地が提供されるとともに、国内の主要港であるカラーチー港、カーシム港への依存の軽減も期待されている。

隣接州

パキスタン

アフガニスタン

イラン

気候

北部高地の気候の特色は厳しい冬と酷暑である。南部高地の冬の気候は、北側では厳しいがマクラーン海岸近くの南側では穏やかである。夏は暑く乾燥し、特にチャガイやハーランの砂漠地帯では暑熱が厳しい。平野部では、夏は厳しく気温は日中50にも達するが、冬は穏やかで気温が氷点下になることはほとんどない。砂漠地帯では人を寄せ付けない強い砂嵐が吹くことがある。

住民と社会

バローチスターンの人口は約8百万人である。州内の主要言語は、バローチ語パシュトー語ブラーフイー語ペルシア語である。

カラート地区(英語版)をはじめ州内には、インダス文明を担ったとされる多くのブラーフイー語話者が居住している。ペルシア語話者のデーワール族(英語版)もカラート地区やイラン国境近くの西部地域に居住している。

バローチ族が南部と東部(マクラーン地区、ラス・ベラ地区)では多数派を成す。マクラーン海岸沿いには、多様なマクラーニー・バローチ族が居住している。

州都クエッタではパシュトゥーン族が多数派で、バローチ族、ハザーラ族パンジャービー族ブラーフーイー人(英語版)などが少数派として生活している。

北部ではパシュトゥーン族も多い。また、パシュトゥーン人、タジク人ハザーラ人など多くのアフガニスタン難民も州内に居住している。

バルーチ民族主義運動(Baloch nationalism)というものもあり、アフガニスタンに侵攻したソビエト連邦軍と戦ったムジャーヒディーンを支援していたパキスタン政府に対抗するため、ソビエト連邦バルーチスターン解放軍(BLA)に対して援助を行っていた。過去の歴史から、パキスタンの分離独立を目指す動きもあり、反政府武装勢力としてバルーチスターン解放軍、バルチスタン解放戦線(BLF)、バルチスタン共和国軍(BRA)などが活動してきた。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 「イラン、パキスタンを攻撃 南西部、テロ報復 武装組織拠点」『読売新聞』夕刊2024年1月17日3面/イラン、相次ぎ周辺国攻撃 パキスタンパ南西部「テロ集団拠点破壊」『読売新聞』朝刊2024年1月18日国際面
  2. ^ “Pakistan”. Citypopulation (2023年9月23日). 2024年3月5日閲覧。
  3. ^ “イラン、パキスタンの武装勢力狙いミサイル攻撃 子ども2人死亡”. CNN (2024年1月17日). 2024年1月17日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • 州公式ウェブサイト(英語)
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座標: 北緯30度12分 東経67度01分 / 北緯30.200度 東経67.017度 / 30.200; 67.017