ビジネススクール

ビジネス・スクール: business school)は、商業経営経営管理高等教育機関。様々な定義を指す呼称だが、一般に経営(マネジメント)に関する高等教育機関を指し、特に大学院レベルの教育機関を指す。日本語の「ビジネス・スクール」の呼称は、主に米国式の専門職大学院(プロフェッショナル・スクール)を指すものである。

歴史

世界最古のビジネススクールは1819年に設立されたESCP EUROPEであり、フランスパリ市に置かれたグランゼコールの一つである[1][2]。米国においては、1881年に設立されたペンシルベニア大学ウォートン・スクールが米国初のビジネススクールである[3]。英国においては、1965-66年にロンドン・ビジネス・スクールマンチェスター・ビジネス・スクールベイズ・ビジネス・スクールダラム・ビジネス・スクールなどが設立された。

日本最初期のビジネススクールとしては、明治時代の1875年に森有礼渋沢栄一益田孝らにより設立された商法講習所(現一橋大学)や、1878年に兵庫県福沢諭吉により設立された神戸商業講習所(現兵庫県立神戸商業高等学校[4][5]森下岩楠岩崎弥太郎により1878年に設立された三菱商業学校明治義塾[要出典]、1880年に五代友厚らにより設立された大阪商業講習所(現大阪市立大学)、1882年に設立された横浜商法学校(現横浜市立大学[4]などがある。

ビジネススクール認定機関

世界のビジネススクールの主なアクレディテーション機関(評価・認定する機関)としては、米国においては Association to Advance Collegiate Schools of Business(AACSB)であり、欧州ではAssociation of MBAs(AMBA)およびEFMDが発行する欧州品質改善システム(EQUIS)の3種類がある。

日本国内で認証を受けた学校は、京都大学(京都)(EQUIS)、慶應義塾大学(東京)(AACSB)、名古屋商科大学(東京/愛知/大阪)(AACSBとEQUISとAMBA)、立命館アジア太平洋大学(AACSBとAMBA)、国際大学(AACSB)、早稲田大学(東京)(AACSBとEQUIS)、中央大学(AMBA)、一橋大学(東京)(AACSB)、同志社大学(AMBA)である(取得順)。

AACSB・AMBA・EQUISの3認証全て取得したビジネススクールはトリプル・アクレディテーションないしはトリプルクラウン校と呼ばれる。2023年1月現在、世界118校が3機関より認証を受けている。日本国内でトリプル・アクレディテーションを取得しているトリプルクラウン校は名古屋商科大学のみ。

また、「フィナンシャル・タイムズ」、「eduniversal」、「エコノミスト」、 「Quacquarelli Symonds (QS)」、「ビジネスウィーク」、「USニューズ&ワールド・レポート」、「フォーチュン」、「ウォールストリート・ジャーナル」、などの有名なビジネス雑誌がそれぞれ独自に、ビジネススクールのMBAプログラムの世界ランキングを定期的に公表している。今日世界中で、ビジネススクールが乱立している中で、トリプルクラウン校や、主要世界ランキング世界100位以内のMBA修士号相当の大学院で学ぶ事が、一般的にその後の就職で優位に評価される事が多い。

付与される学位

以下の大学院レベルの学位が一般的である。

  • 修士:(Master's degree マスター・ディグリー) Master of Business Administration(経営学修士/MBA)、 Masters in Business and Management(MBM)、 Master of Management、 Master of Accountancy(会計学修士)、 Master of Marketing Research、 Master of Information Systems Management、 Master of Science in Management、 Master of Health Administration(保健学修士)、 Master of Science in Finance(ファイナンス科学修士)、 MSc、 Master of Science in Taxation、 Masters in Management Studies、 EMBA 、 Master of Commerce
  • 博士: Ph.D.、 Doctor of Business Administration(DBA)、 Doctor of Health Administration、 Doctor of Management、 Doctor of Commerce (DCOM)、 PhD in Management or Business Doctorate (Doctor of Philosophy)、 Doctor of Professional Studies (DPS)

各国の一覧

ヨーロッパ

INSEAD(フランス)、ロンドン・ビジネス・スクール(イギリス)、IMD(スイス)、IESE ビジネススクール(スペイン)など、各国に有力なビジネススクールがある。また、近年ではオックスフォード大学ケンブリッジ大学マンチェスター大学ダラム大学などイングランドの古典総合大学にもビジネススクールが併設され、高い評価を得ている[6]

ロンドン・ビジネス・スクール
マンチェスター・ビジネス・スクール
サイード・ビジネス・スクール
ダラム・ビジネス・スクール
ベイズ・ビジネス・スクール

イギリス

フランス

INSEAD
HECパリ

(参考[15][16]、括弧内はキャンパス所在地)

スペイン

IESE
IE ビジネススクール

ドイツ

ミュンヘン工科大学マネジメントスクール
マンハイム・ビジネス・スクール

イタリア

  • SDA ボッコーニ(SDA Bocconi School of Management):ミラノ

オランダ

スイス

IMD

スウェーデン

ベルギー

  • ブリュッセル自由大学ソルベー経営大学院

ロシア

アジア

中国

CEIBS
CKGSB

中国ではMBAが過剰なまでに注目されており、現在MBA取得者が200万人も居ると言われている。[18]

香港

HKUST
HKU

シンガポール

NUS
NTU/NBS
SMU

マレーシア

タイ

SASIN

インド

IIMs
ISB
SPJIMR

日本

日本国内では、社会人を対象とした経営学修士プログラムは、オンサイト型、完全遠隔型などがある。また内容にも種々のものが見られ、Executive MBA(実務経験12年目安)、MBA(実務経験3年以上)、MSc(実務経験不要)に分類される。また通学の便宜を図るため、従来のフルタイム型以外に、土日あるいは平日夜間を利用したパートタイム型のカリキュラムを開講する大学院が多い。受講生も文理問わず社会人の入学が多く、ビジネス街の中心部にサテライト教室を設ける大学院も多い。

  • 日本で取得できる海外のMBA
    • アナハイム大学(アメリカの大学院としてCHEAの認証取得。日本の大学院設置基準外で文科省による修士の学位としては認められない)
    • ウェールズ大学経営大学院 英国(QAA(w:Quality Assurance Agency for Higher Education)認証取得(QAAとNIAD-UE(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構)は2007年2月より提携。日本の大学院設置基準外で文科省による修士の学位としては認められない)日本での運営はHABS(ヒューマンアカデミービジネススクール)。
    • テンプル大学(AACSB)認証取得。2005年2月に文科省より「外国大学の日本校」として指定を受ける)
    • マギル大学 MBA Japanプログラム(2015年4月に文科省より「外国大学の日本校」として指定を受ける)
    • マサチューセッツ大学(AACSB認証取得。日本の大学院設置基準外で文科省による修士の学位としては認められない)
    • ミドルセックス大学経営大学院 英国(EQUIS)認証取得。日本の大学院設置基準外で文科省による修士の学位としては認められない)
    • ポンゼショセ大学国際経営大学院日本キャンパス(ENPC MBA-Tokyo、日本の大学院設置基準外で文科省による修士の学位としては認められない)
    • ボンド大学経営大学院(Bond-BBT MBA-Tokyo、AACSB・EQUIS認証取得。日本の大学院設置基準外で文科省による修士の学位としては認められない)
  • MBA連携

(五十音順)

アフリカ

  • ラゴス・ビジネススクール(英語) - パン・アフリカン大学
  • ケープタウン大学ビジネススクール

オセアニア

オーストラリア

南米

アルゼンチン

北米

アメリカ合衆国

ハーバード・ビジネス・スクール
スタンフォード大学経営大学院
ペンシルベニア大学ウォートン・スクール
シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス
MITスローン・スクール・オブ・マネジメント
ケロッグ経営大学院
コロンビア・ビジネス・スクール
タック・スクール・オブ・ビジネス
ハース・スクール・オブ・ビジネス
スターン・スクール・オブ・ビジネス

アメリカでは現在、500を越す大学・教育機関がMBA課程を設置している。アイビーリーグ8校のうち、ブラウン大学プリンストン大学はMBA課程を持たない。MBAは学校によって特色があり一概にどの学校がトップであるかとは判断しにくいが、複数のマスコミから毎年ランキングが発表されており、そのランキングは就職率や初任給の多寡、また生徒や実業界からの評価により変動している。

アメリカの主なMBAプログラム(**は公立)

カナダ

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Andreas Kaplan: European Management and European Business Schools: Insights from the History of Business Schools,”. European Management Journal. (2014). doi:10.1016/j.emj.2014.03.006. 
  2. ^ “Business Schools Post-Covid-19: A Blueprint for Survival”. 2023年6月17日閲覧。
  3. ^ “Wharton History”. The Wharton School of the University of Pennsylvania. 2012年6月3日閲覧。
  4. ^ a b 浅田毅衛「明治期における商業教育史の回顧-明治大学商学部創立の歴史的背景-」『明治大学史紀要』第5巻、歴史編纂委員会専門委員会、1985年3月、40-104頁、ISSN 0285-2047、NAID 120001441402。 
  5. ^ 「HUBの歴史」一橋大学大学院経営管理研究科系管理プログラム
  6. ^ European Business School Rankings 2009 Financial Times
  7. ^ http://www.london.edu/ London Business School
  8. ^ http://www.mbs.ac.uk/
  9. ^ http://www.sbs.ox.ac.uk/ Said Business School, University of Oxford
  10. ^ http://www.dur.ac.uk/
  11. ^ http://www.wbs.ac.uk/
  12. ^ http://wwwf.imperial.ac.uk/business-school/
  13. ^ http://www.jbs.cam.ac.uk/ Judge Business School, University of Cambridge
  14. ^ https://www.london.ac.uk/courses/global-mba
  15. ^ Ecoles de commerce post-prépas - Palmarès des grandes écoles - Lepoint.fr
  16. ^ 商業系(MBA)のグランゼコール
  17. ^ “ESCP EUROPE - Torino”. TopUniversities. 2015年11月9日閲覧。
  18. ^ https://www.itmedia.co.jp/im/articles/0605/25/news123_2.html
  19. ^ [1]“アーカイブされたコピー”. 2008年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年10月7日閲覧。[2]
  20. ^ “国際認証”. 名商大ビジネススクール - 国際認証MBA. 2021年10月16日閲覧。
  21. ^ “WBSが国際認証AACSBを取得することが決定しました”. 早稲田大学 大学院経営管理研究科. 2020年2月16日閲覧。
  22. ^ “ビジネススクールの国際認証AACSBを取得しました”. 国立大学法人一橋大学. 2021年7月30日閲覧。
  23. ^ “同志社ビジネススクールが国際認証AMBAを取得!”. 同志社大学 オフィシャルサイト. 2023年12月20日閲覧。
  24. ^ 平成25年度以降募集停止。
  25. ^ 慶應義塾大学・京都大学・神戸大学によるMBA連携について (PDF)
  26. ^ [ICS Hitotsubashi国立大学法人 一橋大学大学院 経営管理研究 ネットワーク]HUB

参考文献

  • フィリップ・デルヴス・ブロートン 著、吉澤康子 訳『ハーバードビジネススクール : 不幸な人間の製造工場』岩瀬大輔監訳・解説、日経BP社、2009年。ISBN 978-4-8222-4746-1。 
  • 『早稲田ビジネススクール・レビュー 第4号』日経BP企画〈日経BPムック〉、2006年。ISBN 4-86130-180-7。 
  • 慶應義塾大学ビジネス・スクール 編『検証ビジネススクール : 日本でMBAを目指す全ての人に』慶應義塾大学出版会、2009年。ISBN 978-4-7664-1617-6。 
  • 大前研一『ニュービジネス活眼塾 : アタッカーズ・ビジネススクール講義録』プレジデント社、2005年。ISBN 4-8334-1824-X。 
  • 神戸大学経済経営学会編著『ハンドブック経営学[改訂版]』、ミネルヴァ書房、2016/4/11。ISBN 978-4623076734。
  • 上林憲雄編著『経営学の開拓者たち: 神戸大学経営学部の軌跡と挑戦』中央経済社 (2021年)。ISBN 978-4502377518

関連項目

外部リンク

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