フォード・モンデオ

モンデオMondeo )はフォード1993年から生産・販売している乗用車であり、ボディタイプは4ドアセダン、5ドアハッチバックステーションワゴンがある。初代の生産は欧州工場であったが、2代目からアジアの工場でも生産されている。

初代 Mk1/Mk2(1993-2000年)

Mk1
Mk2(後期型)

シエラの後継車として60億ドルの費用をかけて開発され、1993年に発売された。ボディタイプはセダンステーションワゴンの2種類。1994年度のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

日本では1994年6月に発売。当時の国産車では多くの車種がオプションだったエアバッグABSを標準装備し、セダンの1.8LXは200万円を切った車両価格が話題になった。また新聞では、「日本のフォルクスワーゲン・ゴルフはなぜ高いか」という比較広告も話題になった。

その後、2,543 ccのV型6気筒エンジン搭載モデル、ディーゼルエンジン搭載モデル、スポーティモデルのGTも日本に導入されたが、このV型6気筒エンジンは日本の税制上では2.5 L以上 - 3.0 L以下の扱いとなるため、日本市場での競争力という点では不利であった。

1996年にマイナーチェンジを実施してMk2へ移行する。当時のフォードが進めていたオーバルデザインコンセプトに基づき、フロントマスク及びリアデザインが大幅に変更された。デビュー当初にそのデザインがあまりにも没個性的とあるという一部からの批判があったことも一因と言われている。

北米ではフロントマスクやCピラーからトランクエンドまでのデザインを変更した上でコントゥアおよびマーキュリー・ミスティークという2つのモデルとして生産していたが、サイズの割に車両価格がトーラスとさほど違わなかったため失敗し、後継のMk3は北米市場に導入されなかった。

2代目 Mk3(2000-2007年)

Mk3・5ドアHB
ST220
台湾仕様 メトロスター

2000年パリサロンで欧州デビューし、翌2001年5月に日本で発売された。ジャガー・Xタイプとは姉妹車の関係にある。

フォーカスで培われた操縦性、安全性、そして人間工学面でのノウハウが反映された。デザインもフォーカスに通じるエッジの効いたものを採用しており、スコーピオが消滅したことに伴う車格のアップとともにヨーロッパ・フォードの最上級モデルとなっている。サイズアップによって先代で問題点のひとつとされていた後席の居住性が大きく改善され、全体的な品質も大きく向上している。

2005年にマイナーチェンジを実施し、バンパーやグリル、テールレンズなどが小変更されている。

ヨーロッパを中心に多くの自動車ジャーナリズムの賞を獲得したが、2001年度のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーではアルファロメオ・147に1点差で次点に終わった。

イギリス仕様のCMではトムとジェリー テイルズのキャラを使用。

日本へは2001年4月より販売が開始された。先代同様ハッチバックは導入されていない。2.5リッターV6エンジンは先代と違い2,494ccであるため、日本市場における自動車税額での競争力の不利が取り除かれた。2005年3月31日にはV6DOHC3リッターエンジンとゲトラグ製6速MTを搭載したスポーツモデル・モンデオST220が20台限定(パフォーマンスブルーのみ)で発売され、2006年6月1日にはパフォーマンスブルーにパンサーブラック、シーグレイを加えてカタログモデルとなった。ST220は最終的には53台のみ国内登録された。

この3代目は欧州に加え中国重慶台湾ベトナムと生産拠点が増えた。台湾仕様は「メトロスター」の名で販売され、フロント部分が大幅に変更されている。

3代目 Mk4(2007年-2012年)

Mk4モンデオ・セダン
Mk4モンデオ・ワゴン

2005年にフランクフルトモーターショーにてデザインコンセプトモデルであるイオシスを発表、2006年パリモーターショーにてプロトタイプが発表され、2007年5月より販売が開始された。プラットフォームはボルボが開発したEUCDプラットフォームを使用し、サイズは先代よりもさらに拡大されている。外観はフォードの新しいデザインテーマであるフォード・キネティックデザインを採用し、先代から大幅にイメージを変えた。ボディタイプは先代同様に4ドアセダン、5ドアハッチバック、ステーションワゴンが用意される。

4代目 Mk5(2013年-2022年)

Mk5セダン
Mk5セダン リア
Mk5ハッチバックセダン サイド
Mk5ワゴン リア

サイズはMk4とほぼ同じであるが、「ワン・フォード・プログラム」の下、この代より北米仕様であるフュージョンとボディを共用する姉妹車になった。主要販売国は欧州各国、中国韓国である。なお、フュージョンには未設定のステーションワゴン(エステートもしくはツアラー)と、4ドアセダンとほぼ同じスタイルを持った5ドアハッチバックセダン(ハッチバックサルーン)も引き続き投入される。

当代では更なるエンジンの大幅なダウンサイジングが図られ、ガソリンエンジンには1.0 L、1.5 L、1.6 L、2.0 Lの4種のEcoBoost(ターボ)エンジンが用意されるが、(1.0 Lのみ直列3気筒。中国市場は1.5 Lのみ)、シリンダーヘッドと一体化されたエキゾーストマニホールドでコンパクト・軽量化を達成。一方、ディーゼルエンジンには1.5 Lと2.0 Lの2種のTDCIが用意される(韓国市場は2.0 Lのみ)。フュージョンに用意されるハイブリッドは各国仕様共通で設定されない。

2013年9月のフランクフルトモーターショーではヴィニャーレとのコラボレーションが発表され[1]、2015年に発売された[2]

2022年4月4日、欧州向け最後の生産車がバレンシア工場から出荷され、生産終了した[3]

5代目(2022年-)

2022年モデル(フロント)
2022年モデル(リア)

2022年1月17日、中国・上海のフォード・デザインセンターにおいて新型モンデオが発表された[4]。販売は中国市場のみとされ[5]、生産は長安フォードで行われる[4]

2022年4月13日、中国において正式発売[6]

モータースポーツ

  • 1994年 イギリスツーリングカー選手権(BTCC)にロウズ・スポーツより2台フル参戦。ドライバーは前年に引き続き、アンディ・ロウズとポール・ラディシッチのコンビだった。この年もラディッシッチが2勝を記録し、ドライバーランキング3位を獲得。同年もラディシッチが世界ツーリングカーカップを制した。
  • 1995年 イギリスツーリングカー選手権(BTCC)に2台がフル参戦。ボディカラーはブルーとホワイト。メインスポンサーはバルボリン。ドライバーはロウズが前年限りで引退した為、ポール・ラディシッチと新たにケルヴィン・バートが加わった。それぞれ1勝し、ドライバーランキングはラディッシッチが6位、バートは9位となっている。この年からインディペンデントチーム(プライベター)にもマシンを供給。ドライバーのチャリー・コックス、マット・ニールリチャード・ケイがそれぞれのチームから参戦。インディペンデント部門のタイトルをニールが獲得した。同年ドイツ・スーパーツーリング選手権(STWカップ)に3チーム合計6台がエントリー。スイスに拠点を置くチーム・エッゲンバーガーからは、クラウディア・ヒュートゲンとエンリコ・ベルダッジア。チーム・ウルフからは、ジョニー・ハウザーローランド・アッシュ。他の2チームに対し、四輪駆動のモンデオを投入したチーム・シューベルはクリス・ニッセンと元F1ドライバーであるティエリー・ブーツェンリカルド・パトレーゼを起用した。ニュルブルクリンクにて、アッシュが初優勝を飾った。同年は全日本ツーリングカー選手権(JTCC)にもプライベターのモンデオがシーズン終盤の仙台ハイランドから参戦。ボディカラーはイエロー。タイヤはダンロップ。ドライバーは和田久だった。オーストラリア・スーパーツーリングカー選手権にも参戦。ドライバーは、ロードレース世界選手権などで活躍したグレッグ・ハンスフォードとBTCCでボクスホールのドライバーとして活躍したジェフ・アラムの2人。しかし、フィリップ・アイランドでのレース中にハンスフォードのマシンがコースアウトし、スポンジバリアに衝突した。衝突の弾みでハンスフォードのモンデオはコースに弾き戻され、そこに後続のマシンがスピードの落ちないままモンデオに衝突してしまう大惨事が発生してしまいハンスフォードは亡くなってしまう。同年はSTWカップでも日産のドライバーとして活躍していた、キース・オドールが亡くなる事故が発生しており、ツーリングカーレースでの死亡事故が相次いで発生したシーズンでもあった。
  • 1996年 イギリスツーリングカー選手権(BTCC)に2台がフルエントリー。この年からチーム運営を担当するのは、イギリスに拠点を置いて活躍しているウェストサリー・レーシング。メインスポンサーは前年と同じくバルボリン。ドライバーはポール・ラディシッチとインディ・ライツチャンピオンのスティーブ・ロバートソン。しかしこの年は苦戦を強いられた。インディペンデントチームのチーム・ダイナミックスにも2台モンデオを供給。ドライバーは前年この部門のタイトルを獲得したマット・ニールとモンデオの先代車であるフォード・シエラで1990年のBTCCチャンピオンを獲得したロブ・グラヴェットだった。STWカップにも同年2チーム合計4台が参戦。チーム・ウルフからクラウディア・ヒュートゲンとヴォルフガング・トレム。チーム・シューベルからもローランド・アッシュとワーレン・ヒューズが参戦した。フォードはこの年をもってSTWカップからは撤退した。北米ツーリングカー選手権(NTCC)にフル参戦。ドライバーはジェフ・アンドレッティだった。
  • 1997年 英国ツーリングカー選手権(BTCC)に2台がフルエントリー。ドライバーはポール・ラディシッチと1991年のBTCCチャンピオンのウィル・ホイ。インディペンデントからも引き続きチーム・ダイナミックスのマット・ニールが参戦したが、シーズン途中日産・プリメーラに乗り換えている。STWカップに代わってスウェーデンツーリングカー選手権(STCC)に同年参戦を開始。スティグ・ブロングビストがドライブした。
  • 1998年 英国ツーリングカー(BTCC)に2台参戦。ドライバーはチームに残留したウィル・ホイとクレイグ・ベアードのコンビとなった。同年の第4戦シルバーストーンでホイが95年以来の優勝を飾った。この年スポット参戦ではあったが、1992年のF1チャンピオンナイジェル・マンセルもBTCCでモンデオをドライブしている。また同年STCCにも参戦。ブロングビストが引き続き参戦した。
ウィル・ホイがドライブするモンデオ。1998年
ナイジェル・マンセルもスポット参戦し、モンデオをドライブした。
  • 1999年 英国ツーリングカー選手権(BTCC)に2台フル参戦。この年からフォードチームの運営を担当するのは前年ホンダチームを運営していたプロドライブとなり、入れ替わる形で、ウェストサリー・レーシングはホンダのチームを運営することになった。これに合わせてドライバーラインナップも変更され、97年チャンピオンでルノーから移籍のアラン・メニュと昨年シリーズ2位を獲得した日産から移籍のアンソニー・レイドが新ドライバーとなった。新体制での参戦となったフォードチームではあったが、同年はマシンの開発が進まなかった事やマシントラブルやクラッシュ等のアクシデントに悩まされる事も多く下位に沈む事が多かった。一方でメニュが第20戦ノックヒルで優勝し、レイドもこの年のチャンピオンを獲得した日産のローレン・アイエロを下して第7戦のブランズ・ハッチでは2位入賞を果たすなど不調ながらも度々健闘を見せた。
    フォード在籍2年目のアンソニー・レイドは同年シリーズランキング2位を獲得した。
チャンピオンを獲得したアラン・メニュのモンデオ。
  • 2000年 英国ツーリングカー選手権(BTCC)に3台がフル参戦。前年度限りで撤退するチームが相次いだが、フォードはホンダとボクスホールと共にシリーズに残り、ドライバーもアラン・メニュとアンソニー・レイドのコンビに加え、撤退したボルボチームから移籍の98年チャンピオンリカルド・リデルを加えた。この年のBTCCモンデオの強さは際立っており、最終戦までメニュ、レイド、リデルの3人でドライバーズタイトル争いを演じた。最終的にドライバータイトルを制したのはメニュで自身2度目のタイトルを獲得。次いでシリーズ2位にレイド、リデルもシリーズ3位となり、チーム部門と製造者部門のタイトルと合わせて3冠を達成。ちなみにこの年の24戦中14戦でポールポジションを獲得し、年間11回の優勝を記録した。同年限りでフォードワークスはBTCCから撤退している。オーストラリアスーパーツーリングカー選手権に同年参戦。ドライバーはアラン・ガー 。スウェーデンツーリングカー選手権(STCC)にも2台がシーズンを通して参戦。ドライバーはトビアス・ヨハンソンとジェーンズ・エドマン
  • 2001年 スウェーデンツーリングカー選手権(STCC) にプライベーターチームのボーリン・モータースポーツからフル参戦。ドライバーは、ジミー・ボーリンとレナルド・ボーリンだった。オーストラリア・スーパーツーリング選手権に引き続き参戦。ピーター・ヒルズが同年ドライバータイトルを獲得した。
  • 2002年 オーストラリア・スーパーツーリング選手権に参戦。ドライバーはマシュー・フォックス、ピーター・ヒルズらが参戦。ヒルズは同年ドライバーランキング2位と好成績を残した。

脚注

  1. ^ “【フランクフルトモーターショー13】フォード モンデオ 新型にヴィニャーレ…プレミアム感が向上”. Response.. (2013年9月9日). http://response.jp/article/2013/09/09/205975.html 
  2. ^ “【ジュネーブモーターショー16】フォード、4車種に「ヴィニャーレ」拡大…プレミアムモデル”. mycar-life.com (2016年3月17日). 2023年7月22日閲覧。
  3. ^ “フォード・モンデオ 欧州向けの生産終了 SUV人気の高まりでセダン需要縮小”. AUTOCAR Japan (2022年4月7日). 2023年7月22日閲覧。
  4. ^ a b "当经典设计遇上创新科技 新一代福特蒙迪欧亮相 全新演绎"势能美学"设计理念" (Press release). 19 January 2022.
  5. ^ “New 2022 Ford Mondeo revealed as sleek China-only saloon”. AUTOCAR (2022年1月17日). 2023年7月22日閲覧。
  6. ^ “长安福特新一代蒙迪欧上市 售价15.98-21.68万元”. 新浪汽车 (2022年4月13日). 2023年7月22日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • Ford Mondeo(ドイツ仕様)
フォードオートラマ)車種年表 日本市場 1982年以降
種類 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6
コンパクト フェスティバ** フェスティバ** Ka
フェスティバ・ミニワゴン* フィエスタ フィエスタ
レーザー* レーザー* レーザー** レーザー* レーザーリデア*
フォーカス フォーカス フォーカス
ミドルセダン テルスター* テルスター* テルスター*
テルスターII* テルスター*
モンデオ モンデオ
トーラス トーラス
ラージセダン トーラス
ステーションワゴン レーザーリデアワゴン*
テルスターワゴン* テルスターワゴン* フォーカスワゴン フォーカスC-MAX
モンデオワゴン モンデオワゴン
トーラスワゴン トーラスワゴン トーラスワゴン
ミニバン イクシオン*
スペクトロン*
フリーダ*
ギャラクシー
クーペ
オープン
プローブ プローブ
マスタング マスタング マスタング マスタング
マスタング・コンバーチブル マスタング・コンバーチブル マスタング・コンバーチブル
サンダーバード
SUV エコスポーツ
クーガ クーガ
ブロンコ エスケープ** エスケープ
エクスプローラー エクスプローラー エクスプローラー エクスプローラー エクスプローラー
エクスプローラー・スポーツトラック
2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6
『*』マツダ車のバッジエンジニアリング車(マツダの日本国内の工場で製造)
レーザー(3代目を除く)→ファミリアテルスターカペラクロノスMS-6スペクトロンボンゴ 、 フリーダ→ボンゴフレンディ 、 イクシオン→プレマシーフェスティバ・ミニワゴンデミオ
『**』マツダの日本国内の工場で製造されたマツダ車とプレスを共用しない車種
フェスティバレーザー(3代目のみ)、エスケープ(初代、2005年まで)
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