大津留厚

大津留 厚(おおつる あつし、1952年 - )は、日本歴史学者。専門は西洋史ハプスブルク近代史。学位東京大学修士国際学)。神戸大学名誉教授

アウスグライヒや、プラグマーティシェ・ザンクツィオーン(国事詔書)の意義を再考し、また、ウィーンのコメンスキー学校や青野原俘虜収容所といった舞台を通して、ハプスブルク帝国史を多面的に研究している。

略歴

1952年東京都生まれ。東京都立青山高等学校卒業。 1976年東京大学文学部西洋史学科卒業。1978年、東京大学大学院社会学研究科修士課程を修了。1985年、同研究科国際関係論専攻博士課程単位取得退学。1979年~1981年、ウィーン大学に留学し、ロバート・A. カン (Robert A. Kann)に師事する[1]

1985年、大阪教育大学教育学部講師。1989年同助教授1998年神戸大学文学部助教授。2000年同教授。2007年、学部改組により神戸大学大学院人文学研究科教授。2017年の定年退職まで勤務。

2017年3月26日「多言語教育への闘い:世紀末ウィーンのコメンスキー学校」と題して最終講義を行った[2]

著書

単著

  • 『ハプスブルクの実験:多文化共存を目指して』中央公論社中公新書>、1995年。ISBN 978-4-12-101223-4
    • 『ハプスブルクの実験:多文化共存を目指して』(増補改訂版)春風社、2007年。ISBN 978-4-86110-097-0
  • 『ハプスブルク帝国』山川出版社<世界史リブレット>、1996年。 ISBN 978-4-634-34300-9
  • 捕虜が働くとき:第一次世界大戦総力戦の狭間で』人文書院<レクチャー 第一次世界大戦を考える>、2013年。ISBN 978-4-409-51117-6
  • 『さまよえるハプスブルク:捕虜たちが見た帝国の崩壊』岩波書店、2021年。ISBN 978-4-00-061463-4

共著

  • 山田史郎ほか『移民』(近代ヨーロッパの探究・1)ミネルヴァ書房、1998年。ISBN 978-4-623-02928-0
  • 大津留厚ほか『民族』(近代ヨーロッパの探究・10)ミネルヴァ書房、2003年。ISBN 978-4-623-03716-2
  • 大津留厚・藤原竜雄・福島幸宏『青野原俘虜収容所の世界:第一次世界大戦とオーストリア捕虜兵』山川出版社<historia・027>、2007年。ISBN 978-4-634-49198-4
  • 大津留厚・奥村弘・長野順子『捕虜として姫路・青野原を生きる 1914-1919:箱庭の国際社会』神戸新聞総合出版センター、2011年。ISBN 978-4-343-00648-6

編著

  • 中央ヨーロッパの可能性:揺れ動くその歴史と社会』昭和堂、2006年。ISBN 978-4-8122-0527-3
  • 『「民族自決」という幻影:ハプスブルク帝国の崩壊と新生諸国家の成立』昭和堂、2020年。ISBN 978-4-8122-2001-6

共編著

  • 大津留厚・水野博子・河野淳・岩崎周一『ハプスブルク史研究入門:歴史のラビリンスへの招待』昭和堂、2013年。ISBN 978-4-8122-1315-5
  • 増田好純著(大津留厚・石田勇治編)『ナチ・ドイツにおける労働動員 ドイツ人、外国人、強制収容所囚人:ユンカース航空機・発動機製作所を事例に』神戸大学出版会(発売:神戸新聞総合出版センター)2022年。ISBN 978-4-909364-18-0

共訳

  • J. ダインダム『ウィーンヴェルサイユ:ヨーロッパにおけるライバル宮廷 1550~1780』大津留厚・小山啓子・石井大輔訳、刀水書房、2017年。ISBN 978-4-88708-424-7

監訳

  • ジョゼフ・ロスチャイルド『大戦間期の東欧:民族国家の幻影』刀水書房、1994年。ISBN 978-4-88708-170-3
  • マーティン・シェーファー『エリザベート:栄光と悲劇』永島とも子訳、刀水書房、2000年。ISBN 978-4-88708-265-6
  • ヴォルフガング・バウワー『植民都市・青島 1914‐1931:日・独・中政治経済の結節点』森宜人・柳沢のどか訳、昭和堂、2007年。ISBN 978-4-8122-0701-7

文庫解説

脚注

  1. ^ 「あとがき」『ハプスブルクの実験』183-185ページ。
  2. ^ 神戸大学文学部・大学院人文学研究科 西洋史学専修公式サイト(2023年10月4日閲覧)


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