2002年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第98回ワールドシリーズ(98th World Series)は、10月19日から27日にかけて計7試合が開催された。その結果、アナハイム・エンゼルス(アメリカンリーグ)がサンフランシスコ・ジャイアンツ(ナショナルリーグ)を4勝3敗で下し、球団創設42年目で初の優勝を果たした。
地区優勝を逃した中で最も勝率の高い球団にポストシーズン出場枠を与えるワイルドカード制度が1994年に導入されて以来、該当球団どうしがワールドシリーズで対戦するのは今回が初めて[3]。ジャイアンツが3勝2敗と優勝へ先に王手をかけ、第6戦でも一時は5-0としたが、エンゼルスは7回裏・8回裏の2イニングで3点ずつ奪って逆転でその試合を制し、続く最終第7戦にも勝利して優勝を決めた。負ければ敗退決定の試合で5点差を逆転したのは、第6戦のエンゼルスがシリーズ史上初だった[4]。両チーム7試合合計で85得点・21本塁打・45長打は全てシリーズ新記録である[5]。シリーズMVPには、第6戦の8回裏に逆転・決勝の適時二塁打を放つなど、7試合で打率.385・3本塁打・8打点・OPS 1.313という成績を残したエンゼルスのトロイ・グロースが選出された。
ジャイアンツの新庄剛志は第1戦に9番・指名打者で先発し、ワールドシリーズで試合に出場した初の日本人選手となった。1998年には伊良部秀輝がニューヨーク・ヤンキースのロースター入りしていたが出場機会がなく、実際に試合に出場したのは新庄が初である[6]。
両チームの過去の対戦
1997年から始まったレギュラーシーズン中のインターリーグでは、同年から2001年までの5年連続で計16試合が組まれており、ジャイアンツが11勝5敗で勝ち越している[7]。直近の対戦は2001年6月にジャイアンツの本拠地パシフィック・ベル・パークで3連戦が行われ、ジャイアンツが3連勝のいわゆる "スウィープ" を果たした。
試合結果
2002年のワールドシリーズは10月19日に開幕し、途中に移動日を挟んで9日間で7試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月19日(土) | 第1戦 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 4-3 | アナハイム・エンゼルス | エディソン・インター ナショナル・フィールド | エディソン・インターナショナル・ フィールド・オブ・アナハイム |
10月20日(日) | 第2戦 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 10-11 | アナハイム・エンゼルス |
10月21日(月) | | 移動日 | |
10月22日(火) | 第3戦 | アナハイム・エンゼルス | 10-4 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | パシフィック・ベル・パーク |
10月23日(水) | 第4戦 | アナハイム・エンゼルス | 3-4 | サンフランシスコ・ジャイアンツ |
10月24日(木) | 第5戦 | アナハイム・エンゼルス | 4-16 | サンフランシスコ・ジャイアンツ |
10月25日(金) | | 移動日 | |
10月26日(土) | 第6戦 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 5-6 | アナハイム・エンゼルス | エディソン・インター ナショナル・フィールド |
10月27日(日) | 第7戦 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 1-4 | アナハイム・エンゼルス |
優勝:アナハイム・エンゼルス(4勝3敗 / 球団創設42年目で初) |
第1戦 10月19日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
2回表、先頭打者バリー・ボンズの本塁打でジャイアンツが先制(1分11秒) |
次打者アウトのあと、レジー・サンダースもソロ本塁打を放ちジャイアンツが2点目を挙げる(52秒) |
エンゼルスのトロイ・グロースが2回裏と6回裏にそれぞれソロ本塁打を放つ(1分24秒) |
第2戦 10月20日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回裏一死一・三塁でエンゼルスが重盗を仕掛け、三塁走者ブラッド・フルマーが生還し5点目のホームを踏む(43秒) |
2回表、ジャイアンツがレジー・サンダースとデビッド・ベルの連続本塁打で4点を奪い1点差に迫る(1分45秒) |
エンゼルスのティム・サーモンが2回裏に2点本塁打、8回裏に勝ち越しの2点本塁打で4打点を挙げる(51秒) |
9回表、バリー・ボンズがトロイ・パーシバルからソロ本塁打を放ちジャイアンツが1点差に詰め寄る(1分17秒) |
パーシバルは次打者ベニート・サンティアゴを二飛に打ち取り試合終了、エンゼルスが1勝1敗のタイに(1分28秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
サンフランシスコ・ジャイアンツ | 0 | 4 | 1 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | 10 | 12 | 1 |
アナハイム・エンゼルス | 5 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 | X | 11 | 16 | 1 |
- 勝:フランシスコ・ロドリゲス(1勝) 敗:フェリックス・ロドリゲス(1敗) S:トロイ・パーシバル(1S)
- 本塁打
SF:レジー・サンダース2号3ラン、デビッド・ベル1号ソロ、ジェフ・ケント1号ソロ、バリー・ボンズ2号ソロ
ANA:ティム・サーモン1号2ラン・2号2ラン - 審判
[球審]エンジェル・ヘルナンデス
[塁審]一塁: ティム・チダ、二塁: マイク・ウィンタース、三塁: マイク・ライリー
[外審]左翼: ティム・マクレランド、右翼: ジェリー・クロフォード - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後5時6分 試合時間: 3時間57分 観客: 4万4584人 気温: 72°F(22.2°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第3戦 10月22日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
5回裏、バリー・ボンズの2点本塁打でジャイアンツが点差を4点に縮める(1分47秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
アナハイム・エンゼルス | 0 | 0 | 4 | 4 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 10 | 16 | 0 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 6 | 2 |
- 勝:ラモン・オルティズ(1勝) 敗:リバン・ヘルナンデス(1敗)
- 本塁打
SF:リッチ・オーリリア1号ソロ、バリー・ボンズ3号2ラン - 審判
[球審]ティム・チダ
[塁審]一塁: マイク・ウィンタース、二塁: マイク・ライリー、三塁: ティム・マクレランド
[外審]左翼: ジェリー・クロフォード、右翼: エンジェル・ヘルナンデス - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後5時31分 試合時間: 3時間37分 観客: 4万2707人 気温: 57°F(13.9°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第4戦 10月23日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
3回表、トロイ・グロースの2点本塁打でエンゼルスが点差を3点に広げる(52秒) |
8回裏、デビッド・ベルの適時打でジャイアンツが勝ち越し点を奪う(1分13秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
アナハイム・エンゼルス | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 10 | 1 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | X | 4 | 12 | 1 |
- 勝:ティム・ウォーレル(1勝) 敗:フランシスコ・ロドリゲス(1勝1敗) S:ロブ・ネン(2S)
- 本塁打
ANA:トロイ・グロース3号2ラン
- 審判
[球審]マイク・ウィンタース
[塁審]一塁: マイク・ライリー、二塁: ティム・マクレランド、三塁: ジェリー・クロフォード
[外審]左翼: エンジェル・ヘルナンデス、右翼: ティム・チダ - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後5時39分 試合時間: 3時間2分 観客: 4万2703人 気温: 56°F(13.3°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第5戦 10月24日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回裏、バリー・ボンズの適時二塁打でジャイアンツが1点を先制(59秒) |
ジャイアンツのジェフ・ケントが6回裏と7回裏にそれぞれ2点本塁打を放つ(1分31秒) |
7回裏、ジャイアンツのケニー・ロフトンが適時三塁打。三塁走者J.T.スノーは、監督ダスティ・ベイカーの3歳の息子がバットボーイとして本塁に近づいてきたところを抱きかかえ、二塁走者デビッド・ベルとの衝突を防ぐ(45秒) |
8回裏、リッチ・オーリリアの3点本塁打でジャイアンツが16点目を挙げる(57秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
アナハイム・エンゼルス | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 10 | 2 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 4 | X | 16 | 16 | 0 |
- 勝:チャド・ザービー(1勝) 敗:ジャロッド・ウォッシュバーン(2敗)
- 本塁打
SF:ジェフ・ケント2号2ラン・3号2ラン、リッチ・オーリリア2号3ラン - 審判
[球審]マイク・ライリー
[塁審]一塁: ティム・マクレランド、二塁: ジェリー・クロフォード、三塁: エンジェル・ヘルナンデス
[外審]左翼: ティム・チダ、右翼: マイク・ウィンタース - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後5時23分 試合時間: 3時間53分 観客: 4万2713人 気温: 58°F(14.4°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第6戦 10月26日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
ブライアン・マックナイトによる試合前のアメリカ合衆国国歌『星条旗』独唱(1分53秒) |
6回表、先頭打者バリー・ボンズの本塁打でジャイアンツがリードを4点に広げる(1分3秒) |
7回裏、スコット・スピージオの3点本塁打でエンゼルスが2点差に詰め寄る(1分3秒) |
8回表、エンゼルスの3番手投手ブレンダン・ドネリーが無失点に封じる(45秒) |
その裏、先頭打者ダリン・アースタッドの本塁打でエンゼルスが1点差に迫る(1分) |
そのあと無死二・三塁となり、トロイ・グロースの適時二塁打で2走者が生還してエンゼルスが逆転(1分17秒) |
9回表、トロイ・パーシバルがリッチ・オーリリアを空振り三振に仕留めて試合終了、エンゼルスの勝利でシリーズは最終第7戦へ(1分23秒) |
第7戦 10月27日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
2回裏、ベンジー・モリーナの適時二塁打でエンゼルスが同点に追いつく(49秒) |
3回裏、ギャレット・アンダーソンが満塁走者一掃の二塁打を放ちエンゼルスが勝ち越し(1分25秒) |
エンゼルスの先発投手ジョン・ラッキーはジャイアンツ打線を5回1失点に封じる(1分23秒) |
5回表、デビッド・ベルの左中間への打球を中堅手ダリン・アースタッドがダイビングキャッチでアウトにする(48秒) |
エンゼルスの2番手投手ブレンダン・ドネリーが、6回表からの2イニングを無失点に抑える(1分27秒) |
8回表、ドネリーからマウンドを引き継いだフランシスコ・ロドリゲスが、3つのアウトを全て空振り三振で奪い無失点で終える(51秒) |
9回表、トロイ・パーシバルがケニー・ロフトンを中飛に打ち取り試合終了、エンゼルスの優勝が決定(1分56秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
サンフランシスコ・ジャイアンツ | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 |
アナハイム・エンゼルス | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 4 | 5 | 0 |
- 勝:ジョン・ラッキー(2勝) 敗:リバン・ヘルナンデス(2敗) S:トロイ・パーシバル(3S)
- 審判
[球審]ジェリー・クロフォード
[塁審]一塁: エンジェル・ヘルナンデス、二塁: ティム・チダ、三塁: マイク・ウィンタース
[外審]左翼: マイク・ライリー、右翼: ティム・マクレランド - 試合開始時刻: 太平洋標準時(UTC-8)午後5時3分 試合時間: 3時間16分 観客: 4万4598人 気温: 63°F(17.2°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
脚注
- ^ "World Series Television Ratings," Baseball Almanac. 2020年6月14日閲覧。
- ^ Murray Chass, "BASEBALL; Wild-Card Series: A New Paradigm For an Old Game," The New York Times, October 16, 2002. 2020年6月14日閲覧。
- ^ Jack Curry, "BASEBALL; Angels' Comeback Forces Game 7," The New York Times, October 27, 2002. 2020年6月14日閲覧。
- ^ Paul Sullivan, Tribune staff reporter, "Angels with rings," Chicago Tribune, October 28, 2002. 2020年6月14日閲覧。
- ^ 「上原 3年越しリベンジだ 11年登録外、カ軍と "再戦"」 『スポニチ Sponichi Annex』、2013年10月24日。2020年6月14日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年5月22日閲覧。
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、2002年のワールドシリーズに関連するカテゴリがあります。
- MLB.com Postseason History(英語)
- Baseball Almanac(英語)
- Baseball-Reference.com(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第6戦:2002 World Series Game 6 (Angels vs. Giants)
- 第7戦:2002 World Series, Game 7: Giants @ Angels
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アナハイム・エンゼルス 2002年のワールドシリーズ ロースター |
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ロサンゼルス・エンゼルス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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エンゼルス球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ優勝(1回) | |
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リーグ優勝(1回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - ソルトレイク・ビーズ(AAA級)
- ロケットシティ・トラッシュパンダズ(AA級)
- トリシティ・ダストデビルズ(High-A級)
- インランド・エンパイア・シックスティシクサーズ(Low-A級)
- アリゾナ・コンプレックスリーグ・エンゼルス(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・エンゼルス(Rookie級)
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サンフランシスコ・ジャイアンツ |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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永久欠番 | |
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ジャイアンツ球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ敗退(12回) | |
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リーグ優勝(23回) | |
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傘下マイナーチーム | |
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